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おすすめの図書

セクシュアルマイノリティ(LGBTQ+など)について知りたい、
LGBTQに関する図書を読んでみたい。
ここではスタッフのおすすめ本の紹介と、SHIPで読める本を
調べることができます(蔵書検索は準備中です)。

スタッフのおすすめ図書

『いろいろな性、いろいろな生きかた① 『いろいろな性ってなんだろう?』』

渡辺大輔(監修) / 2016 / ポプラ社

いろいろな性、いろいろな生きかた3巻シリーズの1巻目。
『性には、いろいろなものがあるんだよ!』分かっているようで知らない、性についての基礎知識をわかりやすい言葉で解説してあります。マンガのパート、当事者の声、コラムなどもあって、なかなかな情報量で読みごたえもあります。
小学校中学年くらいの子ども向けに書かれた本ですが、LGBTのことをよく知らない大人の人も子どもと一緒に読めば学べるものがあるかも!

2024/04/15 レビュアー:拓人

『しまなみ誰そ彼』

鎌谷悠希 / 2015 / 小学館

「なんでも話して。聞かないけど」
レズビアン、ゲイ、トランス、異性装、アセクシュアル…様々なセクシュアリティを持つ人々が、談話室と呼ばれる古民家に集いその再生プロジェクトに緩く関わる中で、自らも『再生』していく。尾道の坂や船と共に生きる優しい景色が逆に息苦しくなるほど、困難の中でもがく人々の心情とコントラストを描き、抒情的な台詞回しも相まって繊細な印象を残す。誰そ彼ーーあなたは誰?ーーへの自分なりの答えを獲得していく登場人物たち。ビアンだからこんな悩みだろう、トランスだからこういうものを求めているだろう、ではなく、その人個人が大切にしているものを汲み取り支持する。その姿勢を大切にしたいと読後に改めて思った。

2024/03/18 レビュアー:ひじりぃ

『LGBTだけじゃない! わたしの性 性役割/性別表現』

佐々木掌子 監修 / 2023 / 国土社

この本は、「多様性」や、「性別らしさ」など世の中でいわゆる当たり前とされてきたことに、本当にそうなの?と問いかけ、LGBTだけじゃない私たちの「性」をどんなものも肯定していきます。言葉にするって大事だなぁと感じながら、子どもからカミングアウトを受けて戸惑っている親も先生方も子どもたちも、みんながストンとこの視点に立てたらいいなと思いました。

2024/02/19 レビュアー:はるか

『片想い』

東野圭吾 / 2001 / 文芸春秋

東野というからにはミステリーだ。驚くのは、昨今ならまだしも「3年B組金八先生」ですらまだ取り上げていなかった「性同一性障害」を題材に、友情と恋愛を絡ませてミステリー仕立てにした作品であることだ。東野は、登場人物に、男と女の境目は書類(戸籍)が正しいというわけじゃなく、メビウスの帯のような連続線だと言わせている。ジェンダー多様性に対して一方的な決めつけをする社会への怒りも随所に感じる。片想いの主についても複層的。ジェンダー違和についても何が正しくてなにが的外れかなどと考えること自体がお門違いな気がして東野のミステリー世界に迷い込む。しかし、読後の気分は良い。東野圭吾、恐るべし。

2024/01/15 レビュアー:はるか

『たまごちゃん、たびにでる』

(文)フランチェスカ・パルディ、(絵)フランチェスコ・トゥーリオ・アルタン / 2013 / イタリア会館出版部

主人公のたまごちゃんが、いろいろな”かぞく”に会うために旅に出るというお話の絵本です。家族という言葉からイメージするものは人それぞれだと思うけれど、”かぞく”にも色々な形があって、それに対するたまごちゃんのコメント、思いが素敵。ぜひ読んでみてください。

2023/12/18 レビュアー:蒼

『トランスジェンダー入門』

周司あきら、高井ゆと里 / 2023 / 集英社

まず、「入門」と言いながら他の入門書とはあきらかに一線を画していた。様々なデータを用いてトランスジェンダーの現状を明らかにし、単に身体の性と心の性が違うという理解にとどまらないトランスジェンダーの全体像を明らかしている。ノンバイナリーについても触れられている内容は深くて幅広く、社会啓蒙という意味でも心強い「入門書」。少数派への社会の不条理に対する著者らの憤りを感じて、読み進めるうちに背筋が伸びた。トランスジェンダー理解を目指す人には、是非一読を勧めたい。

2023/11/20 レビュアー:ハルカ

『ジョージと秘密のメリッサ』

アレックス・ジーノ (著), 島村 浩子 (翻訳) / 2016 / 偕成社

小4のジョージ、身体は男の子だけど、本当の自分はメリッサ。今度、クラスの劇で「メス蜘蛛」の役を希望して練習しているけれど、周りの人には聞き入れてもらえない。家族、友達、学校、場面場面での心情と出来事がとても丁寧に描かれていて、自分も追体験しているような気分になり途中ハラハラしながら読みました。著者は実体験も踏まえた本書を完成させるまでに12年かけたそうです。児童書の体を取っていて難しい表現はないのですが、削りに削った言葉の中に何か深いものを感じました。

2023/10/16 レビュアー:ほたるいか

『埋没した世界~トランスジェンダーふたりの往復書簡~』

五月あかり・周司あきら / 2023 / 明石書店

自分っていったい何者なんだろう。立場や考え方が違う二人のトランスジェンダーの、自分を探る過酷で長い冒険の旅の記録のような往復書簡。お互いにそっと柔らかく気遣い、鋭く切込み、互いに傷つき、それでも何かを少しずつ発見していく。ゴールは見えないけれど、それでも前に進まざるを得ない苦しみ。なんともしんどい旅なのだけど、二人のやりとりの言葉の豊かさと真剣さ、暖かさに手を引かれて自然と読み進んでしまいます。たとえゴールは見えなくても、光はいつかちゃんと見えてくる。そんな本です。

2023/09/18 レビュアー:しまこ

『いろいろいろんなかぞくのほん』

著者 メアリ・ホフマン/絵 ロス・アスクィス/訳すぎもとえみ / 2018 / 少年写真新聞社

多様な家族について、小さな子でも分かりやすいように書かれています。男性同士の家族、お母さんが二人いる家族、人種や肌の色が違う家族、障がいのある人がいる家族、世界には色々な家族の形があることを教えてくれます。でもでも、同じだと思っている家族でも、それぞれ好きなことは違っていたり。「世界にはいろいろな家族がいて、ひとりひとりみんな違う」そんな、当たり前のことを思い出させてくれる一冊です。

2023/08/21 レビュアー:拓人

『ポラリスが降り注ぐ夜』

李琴峰 / 2020 / 筑摩書房

新宿二丁目のレズビアンバーに集っている人たちのそれぞれの物語が展開されるというオムニバス構成で、細切れ読書の可能な作品だと思います。私が特に印象に残ったのは「太陽花たちの旅」という短編で、台湾で2014年に起こった「ひまわり学生運動」を取り扱っており、台湾出身の著者ならではの視点であり、また、報道だけではわからない、そこで運動をしていた側の人たちの空気感がよくわかったような気がしました。また、「日暮れ」と「五つの災い」という2つの短編の中に、SHIPがモデルになっている?と思う箇所がありました。ぜひ探して読んでいただきたいです。

2023/07/17 レビュアー:ほたるいか