
『埋没した世界~トランスジェンダーふたりの往復書簡~』
自分っていったい何者なんだろう。立場や考え方が違う二人のトランスジェンダーの、自分を探る過酷で長い冒険の旅の記録のような往復書簡。お互いにそっと柔らかく気遣い、鋭く切込み、互いに傷つき、それでも何かを少しずつ発見していく。ゴールは見えないけれど、それでも前に進まざるを得ない苦しみ。なんともしんどい旅なのだけど、二人のやりとりの言葉の豊かさと真剣さ、暖かさに手を引かれて自然と読み進んでしまいます。たとえゴールは見えなくても、光はいつかちゃんと見えてくる。そんな本です。
2023/09/18 レビュアー:しまこ